たぶん、こうなる

事業づくり、サービスづくり、マーケティング、クリエイティブディレクションなどなど

クリエイティブディレクターから学んだ大切なこと

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 約6ヶ月間通った宣伝会議のクリエイティブディレクション講座が終わった。

自分にとって得るものがとても多い講座だったので備忘的に残しておこうと思う。検討されている方にとって少しでも参考になれば幸いです。

(PR記事ではございません笑)

どうして通おうと思ったのか?

 今まで自分が身につけてきたスキルや経験(主にデジタルマーケティングプロモーションの領域)だけでは、事業や自分が抱えている課題を解決できないと感じたから。もっというと、事業戦略やマーケティングは当然必要なんだけれど、自分たちの事業・サービスが、世の中の誰の、なにを解決するのか?というお題に向き合う力(Whyをどう創るか?)と、それをコミュニケーションに落としこむ上での力不足を感じていたからです。自分たちの事業の意義を強く信じているが故に、自分が全うすべき役割を果たし切れていない。そんなもどかしさがありました。

 そんな課題感にぶち当たっていた時期に、ちょうど古川裕也さんの「すべての仕事はクリエイティブディレクションである」も読んで、クリエイティブディレクターというある種掴みどころのない仕事が、自分のひとつの目指すべき姿であり、今の自分にとって必要な要素が詰まっていると感じ、通うことにしました。

実際どうだったか?

 毎回2時間✕15回の講座で、錚々たる講師(杉山恒太郎さん、古川裕也さん、鹿毛康司さん、さとなおさん、高崎卓馬さん・・・国内でクリエイティブディレクションを学ぶ上で、これ以上の講師陣はいないと思います)からレクチャーを受けるのですが、それぞれのクリエイティブディレクションの定義があり、なかなかそれを一言で表すことは簡単ではありません。

 ただ、自分自身が勉強になったことをあげると3つほどあります。1つ目は、クリエイティブディレクションとは「世の中」や「人間」をどう掴み、理解をするかといったことが仕事の始まりであるということ。同じ宣伝会議マーケティング実践講座にも通いましたが、クリエイティブディレクション講座においては、フレームワークやHowの話よりも、世の中・社会の文脈をどう読み取るか?生活者の本音をどう掴むか?というインサイトワークの話が中心だったように思います。それらを各クリエイティブディレクターの実際の仕事や最先端のクリエイティブをケースに紐解いていくような進行がほとんどでした。

  • 世の中・社会の課題をどうやって見つけるのか?
  • どうやってコンセプトを見出していったのか?
  • なぜこういうアウトプットになったのか?
  • なぜこのコミュニケーション方法を採択したのか?

 ミッションやWhyをどう創るか、そしてそれらをどうコミュニケーションの力で伝えるかといった話からは、デジタルマーケティングのプロモーション部分ばかりをやっていた自分にとっては、上流工程をつくる上での大きな学びを得られたと思います。

クリエイティブディレクターはすべての仕事の品質にコミットする

 2つ目は、クリエイティブディレクターは、すべての仕事の品質にコミットする存在であるということ。古川裕也さんの講義では、クリエイティブディレクターは究極の「概念係」であるというお話と並行して、「アウトプットのクオリティ管理」が大きな仕事とおっしゃっていましたが、概念を体現するためのディティールへの執着も、おしなべて多くの講師が言っていたことです。

 ある種、概念係とは真反対の話のような気もしますが、上流の仕事だけではなく、下流の仕事を理解し、時に自らが手を動かし、カタチづくっていくこと。自分自身にも経験があることですが、自ら手を動かした時、プロトタイプで示した時の説得力やチームメイトから共感は、プロジェクトを進める上での強い推進力となりますし、名だたるクリエイティブディレクターが実践されているように、誰にとっても大きな武器になり得ると確信しました。

クリエイティブディレクターは究極の実験者であると思う

 3つ目に、クリエイティブディレクターとはどこまでいっても掴みどころのない仕事だと感じています。課題解決のために、あらゆる手段を考え抜き、手を施す仕事を全てのクリエイティブディレクターがやっている。それこそ、アプリを自分でつくっちゃったり、音楽自分でつくちゃったり、ナレーション自分でやっちゃったり。そんな講師ばっかりです。自らが最も実験的であるし、その実験の数が、クリエイティブディレクターという肩書を成り立たせているんだと思っています。

 組織においては、一般的に職能での話になりやすいと思うのですが、世の中や社会を向き、事に向かって仕事をすればするほど、おそらく職能なんてものを軽々と超えるような仕事をしていかなくてはならないんだろうと思っていますし、自分が描くあるべきマーケターの姿にもシンクロして、考えていたことが確信に変わったような感じです。

 

 最後に、自分にとって大切な言葉たちに出会うことが出来ましたのでそのいくつかをご紹介したいと思います。

 

 HAKUHODO THE DAY佐藤夏生さんの言葉がとても心に残っています。

  "クリエイターは一生辛い。楽したいならやらないほうがいい。辛い方が健康、辛くなかったらヤバイと思ったほうが良い。人と違うアイデアを生むんだから辛い。"

 

 またエステー鹿毛さんはこうおっしゃっています。

   "世に問う、ということをクリエイターは徹底的に考えるべき。発信した先には、その内容に触れて、悲しむ人もいる 。自分が辞めることも考えなければならない、という覚悟や準備、精神性はあるか?"

 

 最後にクロスロード早乙女さんのお言葉。

 ”クリエイティブディレクターの仕事は人間を知ること。人を知らない変人が、クリエイティブを間違えると世の中を誤った方向に進めてしまう。人間として正しいものさしを持っていることが非常に重要”

 

 これらの言葉から、この講座が広告やマーケティングに閉じた話ではないということが容易に想像できると思います。クリエイティブディレクションの力で、どうやって社会や世の中の共感を得ていくのか?そういった生きた話が聞けるし、自分の悩みも相談できる師匠がいるようなそんな全15回の講座でした。

 僕自身はこのクリエイティブディレクション講座で学んだことを今の事業・サービスで存分に実践ができる状況ですので、先人達を追いかけるように挑戦をしていきたいと思います。